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オフセット印刷で選ぶべき用紙・インキの種類とコスト比較

2025.11.06

化粧品のパッケージや高級なカタログを手に取る際、

  • その滑らかな表面
  • 鮮明な色

そして独特な質感に心を動かされた経験はありませんか?

これらの印象の大きな部分は

  • 「オフセット印刷」
  • そこで「用意」される「紙」
  • 「インキ」の選定

の3つにかかっています。

東京・大阪でマーケティングやデザインを担当し、「理想のパッケージを形にする方法がわからない」と悩む起業家や担当者様へ。

今回の記事は、創業80年の歴史と実績を持ち、大手化粧品会社の店舗ディスプレイまで手掛ける印刷のプロが、

  • オフセット印刷に必要な用意やコスト
  • 「紙とインキの種類」

という核心知識を教育的に解説する完全ガイドです。

この知識は、貴社の印刷物は劇的に品質を高めます。

集客と問い合わせに繋がる力を持つことが可能になります。

オフセット印刷に必須の要素

構成と用意の種類

印刷物の品質を決める3つの要素。

版(刷版):オフセット印刷の設計図

オフセット印刷に必要な用意のうち、最も基礎となるのが「版(刷版)」です。

オフセット印刷は平版印刷方式に分類されます。

アルミ製の版(プレート)に親油性の画線部と親水性の非画線部を作ります。

デジタルデータから直接版を作るCTP(Computer to Plate)が現在の主流です。

この版の精度が印刷物の再現性や仕上がりに直接影響します。

版は多くの枚数を印刷する上で版の摩耗が少なく、大量印刷に適した機材の一つです。

インキ:色の表現を決める種類

オフセット印刷で使われるインキは油性が一般的で、主にCMYKの4色を用いることでフルカラーを表現します。

インキの種類には、一般の油性インキの他に、

  • UV(紫外線)を当てて瞬間的に乾燥させるUVインキ
  • 環境に配慮した植物油ベースのインキ

などがあります。用紙や用途に応じて最適なインキを選定することが、鮮明な色を実現する鍵です。

用紙:質感と印象を左右する

オフセット印刷における「用紙」は、印刷物の持つ「印象」の半分以上を決め る要素です。

  • コート紙
  • マットコート紙
  • 上質紙

など多くの種類があります。

それぞれ厚さ(斤量)や表面の加工によって仕上がりが大きく異なります。

例えば、写真を多く使われるカタログでは光沢のあるコート紙、文字が主体 の書籍やマニュアルでは上質紙が選ばれるのが一般的です。

オフセット印刷で使用されるCMYKの4色インキ
インキの濃度と粘度の調整が、印刷物の鮮明さを決定づけます。
コート紙、マット紙、上質紙など様々な種類の用紙の積み重ね
用紙の種類と厚さが、商品の「格」を左右します。

印刷物の用途別「紙」の選び方

オフセット印刷紙の種類と特徴

用途別に最適な用紙を選ぶ。

代表的な3種類の用紙と用途

オフセット印刷で利用される用紙は多いですが、主に以下の3種類の特徴を理解することが基本です。

  1. コート紙:表面に光沢のある加工(コーティング)が施された用紙。写真やフルカラーの印刷で鮮明な色の再現が可能で、チラシ、ポスター、カタログなどに広く使用されます。光沢感があるため、高級感の表現にも適します。
  2. マットコート紙:コート紙と同様にコーティングされていますが、艶を消した仕上がり。光の反射が少なく、文字が読みやすいのが特徴。落ち着いた印象の会社案内やパンフレットに多く使われます。
  3. 上質紙:コーティングがされていない、紙本来の風合いを持った用紙。筆記性に優れているため、書籍の本文やコピー用紙、官製はがきなど、文字を多く印刷する用途に向いています。

紙の厚さ(斤量)の選定方法

紙の厚さは「斤量」で表され、「kg」の単位が使用されます。同じ種類の紙でも、斤量が大きいほど紙は厚くなります。

  • 薄い紙(90kg~110kg程度):チラシや折り込み広告、雑誌の本文など、コストを抑えたい大量印刷物。
  • 中厚紙(135kg~180kg程度):会社案内やパンフレット、名刺、ポスターなど、耐久性と質感の両方が必要なもの。
  • 厚紙(220kg以上):パッケージ、ポストカード、POP、台紙など、強度と高級感が求められる製品。

貴社の商品 の印象を決めるため、サンプルを確認して触感も含めて選定することを推奨します。

オフセット印刷用特殊紙の活用

通常の紙以外に、和紙、パール紙、再生紙などの特殊紙もオフセット印刷で利用可能です。

特に、化粧品や高級食品のパッケージには、紙本来の風合いを活かした特殊紙と箔押しやエンボス加工を組み合わせることで、競合との大きな差別化が図れます。

品質とコストを両立するインキ・版の種類

インキと版の最適化戦略

再現性と環境配慮について。

オフセット印刷 インキ種類:CMYKと特色

オフセット印刷のインキは大きく分けて2種類に分類されます。

  1. プロセスカラーインキ(CMYK):シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の網点を重ねることで、様々な色を表現する方式。フルカラー印刷の基本です。
  2. 特色インキ:CMYKでは再現が難しい、蛍光色、金色、銀色など、あらかじめ調合された特別な色のインキ。企業のロゴカラーなど、厳密な色の統一が求められる場合に使用されます。

特色は色の再現性は高いものの、版が増えるためコストも高くなる傾向にあります。

UVインキと環境対応インキ

  • UVインキ:紫外線(UV)を照射して瞬間的に硬化させるインキで、乾燥時間が不要なため短納期に対応可能です。紙以外のプラスチックやフィルム素材への印刷もできるのが大きな特徴です。耐水性や耐久性も高いため、屋外用POPやラベルに多く使われます。
  • 環境対応インキ:大豆油や植物油などを使用した、環境負荷の少ないインキも増えています。企業のCSR活動や環境配慮を訴求したい場合には最適な選択肢となります。

オフセット印刷のメリット・デメリットとコスト構造

コストと品質のバランス

最適な印刷方式を選ぶ視点。

オフセット印刷 メリットとデメリット一覧

オフセット印刷が商業印刷の主流である理由は多いメリットにありますが、デメリットも理解しておく必要があります。

特徴メリット(長所)デメリット(短所)
品質・再現性写真や網点の再現性が極めて高く、色の安定性に優れる。水とインキの調整が必要で、職人の経験が仕上がりに影響する。
コスト・ロット大量印刷(大ロット)になるほど1枚あたりの単価が安くなる。製版代が初期コストとして必要なた め、少ロット(少量)では割高になる。
納期・対応力高速で連続印刷が可能なため、大部数でも短時間で対応可能。製版工程が必須なため、急ぎの超短納期案件ではデジタル印刷に劣る。

オフセット印刷コスト構造と見積もりの要素

オフセット印刷の費用は、主に「初期費用(固定費)」と「変動費用」に分けて考えると理解しやすいです。

  1. 固定費:製版代(版の制作費)、色の版数、試し刷り(色合わせ)の費用。部数が増えても変わらない費用です。
  2. 変動費:用紙代、インキ代、印刷機の稼働時間(刷り代)、後工程(加工、製本)の費用。印刷枚数(ロット)に比例して増えます。

見積もりを依頼する際は、「用紙の種類と斤量」、「部数」、「色数(4色か特色か)」を正確に伝えることで、迅速かつ適正な価格が得られます。

オフセット印刷とデジタル印刷(オンデマンド印刷)比較の視点

少量の印刷(名刺、DM、展示会用の少部数パンフレット)であれば、初期費用が不要なデジタル印刷(オンデマンド印刷)の方がトータルコストを抑えられます。

しかし、高品質が求められる場合や、写真集・美術書など、色の再現性を優先する場合は、ロットに関わらずオフセット印刷を選定するのが正解です。

オフセット印刷における固定費と変動費のコスト構造図
大量印刷で単価が下がるのは、固定費(版代)を分散できるからです。

印刷物の品質を高めるデータとトラブル対策

発注時に失敗を避ける知識

入稿から納品までの最終チェック。

オフセット印刷 データ作成の基本ルール

オフセット印刷の品質は、データ入稿の段階でほぼ決まります。特に以下の2点は必須の知識です。

  1. カラーモードはCMYKで作成する:モニターの色(RGB)と印刷の色(CMYK)は原理が異なります。入稿データがRGBのままだと、意図しない色に変換されてしまいます。
  2. 解像度は300~350dpiが基本:印刷物では、線数(LPI)に合わせた高い解像度が必要です。低い解像度の画像は、拡大された際に荒くなってしまい、オフセット印刷のメリットである精細な表現が失われます。

オフセット印刷トラブルの予防と対策

オフセット印刷特有のトラブルの多くは、事前の知識と印刷会社の技術で回避できます。

  • 裏移り・にじみ:インキの量や湿し水の量の調整、乾燥時間の確保で大部分が防げます。短納期を優先しすぎるとリスクが増えます。
  • 見当ズレ(色ズレ):4色の版の位置合わせの精度が関わってきます。創業 80 年のサンエイのように、長い歴史と実績のある印刷会社は、高い見当精度を持った機材と職人の経験でこれを解決しています。
RGBとCMYKの色空間(ガマット)の違い
モニターの色は表現範囲が広いため、印刷前に必ずCMYKに変換が必要です。
低解像度と高解像度画像の印刷仕上がりの比較
写真の美しさを保つため、300dpi以上の解像度を用意しましょう

まとめ:紙・インキの選択が未来を決める

オフセット印刷における「用紙」と「インキ」の選定は、単なるコストの問題ではありません。

貴社のブランドイメージや商品の価値を市場に対してどう表現するかという戦略そのものです。

高品質な紙や特色インキを用いることで、競合に埋もれない、手に取られる印刷物を作ることが可能になります。

私たちは、大阪・東京の企業様に対し、創業80年の経験と実績に基づいた最適な用紙・インキの選定から、正確なデータ作成のサポート、そして短納期の対応までを一貫して提供しています。

  • 「どの紙がパッケージに最適か分からない」
  • 「特色インキのコストを知りたい」

など、お気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。知識豊富な担当者が丁寧に 対応いたします。