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故郷と秋の風物詩

2024.10.24

皆さんこんにちは。東京営業部の太田です。

初めてのブログで、何を書いたらよいのか分からなかったので、

ちょうど先日、帰省した私の故郷と特産品を紹介しようかと思います。

私の故郷は新潟県の最北に位置する村上市という町です。

皆様のご多分に漏れず、田園風景ばかりが広がる特徴のない田舎町ですが、

稲刈りが終わったこの時期は村上市独特の文化を見ることが出来ます。

それは家や店舗の軒先に「イヨボヤの塩引き」が吊るされている光景です。

「イヨボヤ」とは村上の方言で「鮭」の事を言います。

村上市は日本で初めて鮭の増殖(産卵地の保護と整備)に成功した町で、

その歴史は江戸時代、お侍さんが居た時代まで遡ります。

また、平安時代から京の都に鮭を献上していた記録も残っていて

昔から鮭が良く獲れたようです。

そんな鮭と長い歴史を持つ村上市では鮭を方言で「イヨ=魚」「ボヤ=魚」

つまり「魚の中の魚」として鯛や出世魚の様に縁起物として扱い重宝してきました。

今でもお正月や冠婚葬祭などでは必ず鮭やイクラが食卓に並びます。

このイヨボヤの塩引きはそんな鮭尽くしな村上を代表する特産品です。

とはいえ「イヨボヤの塩引きと荒巻鮭(塩鮭)は何が違うの?」

「名前だけ変えた荒巻鮭の新潟バージョンでしょ?」と思われる方もいることでしょう。

実際、子供の頃の私はそう思っておりました。

ザックリと説明すれば塩漬けして藁や竹の皮で巻いたものが荒巻鮭で、

塩を刷り込み馴染ませてから寒風で干したものが塩引きとなります。

村上では塩を刷り込むことを塩を引くというので「イヨボヤの塩引き」と呼ばれます。

ですが、私が注目して欲しいのは作り方ではなく吊るした時の見た目です。

左が荒巻鮭(Wikipediaより引用)

右がイヨボヤの塩引き

写真をご覧になっていただけると分かるでしょうか。

「イヨボヤの塩引き」はお腹の切れ込みが8の字のように開かれ、

必ず尻尾が上、頭が下になるように吊るされているのです。

と、いいますのも村上は小さいながらも城下町でもありまして、

冒頭で語った鮭の増殖も青砥武平治というお侍さんが考案いたしました。

そんな武家の文化の影響なのか、塩引きはいつしか切腹と首吊りを連想する為、

わざわざお腹を残して尻尾に紐を結ぶようになったと云われております。

大切な鮭を切腹や首吊りさせては忍びないと思うお侍さんの優しさが

伝統として残っているなんて趣深いです。

鮭公園にある青砥武平治像(Wikipediaより引用)

なんだか気付けば鮭の事ばかり紹介していたように感じますね・・・。

なにかとお米とお酒ばかりが注目される新潟県ですが、

そういえば新潟に酒じゃなくて鮭が名産の町があったなぁと、

ぼんやりとでも覚えていただけたら田舎自慢をした身としては嬉しい限りです。

足を運ぶには少し遠いですが、機会があれば村上の鮭を是非味わっていただきたいです。

村上一番の鮭屋、きっかわの鮭蔵。実際に見ると凄い迫力ですよ。

塩引きやイクラも通販で販売しているとの事で、ご興味ある方は是非。

最後に、新潟も広くて色々と地域差がある方言ですが、

村上弁でちょっと面白いものを見つけたのでご紹介いたします。

「おおきに」「おおきにはや」

大阪と同じく、そのまんま「ありがとう」の意味で使われます。

写真では「はや」がついて感謝の意を強調しているので

「ありがとうございます」の意味で使われていますね。

祖母が野菜を売ったお客様に使っていて、私は勝手に関西弁の真似をしているものだと

思っていたのですが、どうやら村上の方言として定着しているようです。

もしかしたら、

大昔に鮭を買い付けに来た商人の言葉がそのまま根付いたものなのでしょうか。

意外なところで大阪と村上との繋がりを感じられ、

なんだか嬉しくなったので蛇足ながらご紹介させていただきました。

ここまでお付き合いいただき、おおきにはや。